2018年01月31日

第4回 – 省エネルギー診断でターゲットを絞る! その2

第3回のコラムでは、一般財団法人省エネルギーセンターが実施している、中小企業を対象とした、「電力や燃料・熱など総合的な省エネ行動をサポートする無料省エネルギー診断」の現地調査の様子を報告しました。 → 詳しくはこちら

省エネルギー診断には、現地調査と調査結果を踏まえた改善案の提案がセットになっています。

今回のコラムでは、現地調査の結果を踏まえた改善案、その後のホテルでの取り組みの様子について、

引き続き、みっつデザイン研究所の廣谷が報告します。

 

 

■ 省エネルギー調査結果を踏まえた10の改善提案

2017年3月、エネルギー合理化専門員である小坂信二氏が、診断結果と「10の改善提案」をもって説明に来てくださいました。

改善提案は、取り換え工事や設備投資が不要で、使い方(専門用語で運用といいます。)の工夫によって実施できるものと、設備の入れ替え等、それなりの工事費が必要となるものに整理できます。費用対効果という点では、1~3に挙がっている運用の工夫で実施できるものが、最もお進め度が高く、すぐにでも取り掛かりたい改善案と言えます。

以下では、10の改善案を具体的にご紹介していきます。

 

 

■ 運用の工夫とデマンド監視装置について

1番目に挙げられている冷温水発生器とは、客室の暖冷房を担っている屋上にある大型の空調用機械です。他施設と比較すると、その冷温水発生器で調整している冷水温度をもう少し上げても大丈夫ではないかという見解でした。とはいえ温度を上げたことで客室の快適性を損なっては問題なので、試験的に少しずつ温度を上げながら進めていくことが重要とのことでした。

 

2番目に挙げられている、共用部の冷暖房設定温度の緩和とは、夏といっても初夏から盛夏、晩夏と暑さの質が異なる中、いつも同じ設定温度ではなく、暑さによって段階的に設定温度を変更するような細やかな運用で快適性と省エネ性を確保していくというものです。これは家庭やオフィス、どこでも出来る最も基本的な改善方法です。

 

3番目は、今回とても勉強になったことの1つです。自動販売機というのは飲料メーカーが置いていくものですが、新しいものほど省エネ型になっています。メイプルイン幕張に設置されている自動販売機をいくつか確認したところ、最新の省エネ型に変えることで電力消費量が半分ほどになりそうだという試算でした。設置してから期間の長い自動販売機には注意が必要です。また、自動販売機の設置を依頼するときには、メーカー任せにせず、省エネ型で!という指示を出すことも重要なことです。

 

4番目のデマンド監視装置とは、リアルタイムで電力の使用実態を表示する装置で、設定以上の電力を使用しそうになると警報を鳴らしてくれるというものです。20万円弱程の設備費がかかりますが、役割は運用の工夫をサポートするものです。大型施設では、前年の最も使用した電力量に応じて1年間の契約電力量が決まり、契約電力量が大きいほど電気代が高くなります。たとえ1時間、1日であっても、たくさん使ってしまうと、その使用量に合わせて1年間の契約電力量が決まるのです。メイプルイン幕張では8月の電力使用量が1番多く、8月の使用実態が契約電力量を決めていました。そこでこの装置を取り付け、より意識を持って無駄遣いしない使い方をすることが、省エネ性と経済性の両立に重要になってくるのです。

 

 

■ 設備投資が必要な提案について

5~10については、それぞれ機器を取り換えながら省エネ化を図る提案です。第3回のコラムでも触れましたが、これらについては、設備の更新時期に合わせて適切に実施していくということが重要です。

適切に実施する例として、既存の照明機器をただ単にLEDに入れ替えるのではなく、トイレや洗面所の場合は人感センサーを併用し、窓の傍にあるエントランスや廊下の照明機器は、明るさによって出力を調整できる昼光センサーなどを併用することが有効とのことでした。またLED電球は蛍光灯に比べて光が強いため、同じ数の電球をそのままLEDに変えると眩しく感じるケースもあるとのこと。特に研修室の蛍光灯をLEDに変更するときは、少し数を減らしても同程度の明るさが確保できる可能性があるので、きちんと試算を行なったうえで取り換えることが重要とのアドバイスでした。

 

 

■ 改善提案から実践へ

このような提案は、実践につなげてこそ価値があります。

最後に、診断から1年を経た現在のメイプルイン幕張の取り組み状況をご報告します。

 

まずは優先度の高い改善提案(運用の工夫)についての対応です。

 

1. 冷温水発生器の冷水温度の調整

→ 客室への影響が少ないと思われる中間期(春や秋)の設定温度を上げることから始めています。

2. 共用部の冷暖房設定温度の調整 

→ どのような条件のとき、何℃にするのか、快適性を保ちつつ調整をしていくためのルールや仕組みを検討中です。温度情報などの見える化と合わせて、検討を進めていくことになりました。

3. 省エネ型の自動販売機への更新

→ 既にすべての自販機を省エネ型に取り換えました。さらに更新時には、売り上げ実績を鑑みて使用頻度の低いものは撤去をしています。

「適切に実施していく」というアドバイスがここでも活かされています。

 

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その他設備更新が必要なものについては、長期修繕計画と連動しながら順次進めていく予定です。

以下については、実施に向けて動き出しています。

 

10. 給水圧送ポンプの高効率化

→ 2018年5月頃を目途に更新予定

8. 9. 照明器具の取り換え + 4. デマンド装置、

照度設計をしながら検討を進めたところ、電球の本数を減らしながら更新が可能なことが分かりました。更新にあたっては、4.のデマンド装置を含めて、省エネ設備更新に関わる補助金に挑戦しながら実施していく予定となっています。

 

今回の省エネ診断を受ける過程では、連泊のお客さまのタオルやシーツ等の取り換えを最小限にする宿泊スタイルも提案できるのでないか、、、というディスカッションにも繋がりました。宿泊する側のニーズとマッチすれば、お客さまとホテルとの協働による環境への取り組みになります。

 

このようなアイデアが出てくるようになったことも、大事な成果の一つではないでしょうか。

まだまだ、できることが見つかりそうです!

引き続き、私たちの取り組みに注目を頂けると幸いです。

 

■ 協力

◇一般財団法人 省エネルギーセンター https://www.eccj.or.jp/

 

■  監修

◇株式会社 みっつデザイン研究所    www.mittudesign.com

◇一級建築士事務所 エネクスレイン   www.enexrain.com

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